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特に遺言が必要なケース

特に遺言が必要なケース

 以下は、特に遺言が必要な代表例です。

子供がない夫婦の場合

 子供がない夫婦の場合、夫婦の一方が亡くなると、死亡した配偶者の父母、父母がない場合は祖父母、祖父母もない場合は兄弟姉妹へと、順番に相続する権利が発生します。

 法定相続分は、父母または祖父母の場合は、生存配偶者2/3、父母または祖父母1/3、兄弟姉妹の場合は、生存配偶者3/4、兄弟姉妹1/4です。

 例えば、めぼしい遺産が生存配偶者が今後も住むマイホームだけだった場合でも、義理の父母や兄弟姉妹に相続権を主張されると、生存配偶者は、法律的に弱い立場に立たされます。

 ですから、子供がない夫婦の場合は、互いに全財産を配偶者に相続させる遺言をするべきでしょう。

 なぜなら、そうすることで、兄弟姉妹には遺留分がありませんから、兄弟姉妹の相続権は全く排除できますし、義理の父母や祖父母には遺留分がありますが、遺言があることで生存配偶者は相続手続を有利に進めることができるでしょう。

法律上の婚姻関係がない夫婦の場合

 いわゆる内縁関係にある夫婦の場合は、たとえ何十年、一緒に暮らしていても法律上の相続権がありません。

 したがって、内縁の夫または妻に遺産を譲りたい場合は、遺言をする必要があります。

関係を絶っている推定相続人がいる場合

 推定相続人のなかに関係を絶っている人がいる場合、財産の処分についての遺言がないと、その推定相続人の押印その他の協力なないと、相続手続きが進められません。

 推定相続人のなかに関係を絶っている人がいる場合は、遺言をするべきです。

推定相続人のなかに行方不明者がいる場合

 相続人に行方不明者がいる場合、探し出すか、家庭裁判所で不在者の財産管理人を選任してもらって遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

 財産管理人の権限は主に財産を保存することですから、遺産分割協議をしたり、不在者の財産を処分する行為は、財産管理人の権限を超えていますので、このような行為が必要な場合は別に家庭裁判所の許可が必要となります。

 そのうえで、不在者の法定相続分を下回る遺産分割に家庭裁判所が許可する可能性は低いものと思われます。

 いずれにしても、このよな場合、不在者以外の他の相続人にとっては非常に面倒なことになりますから、遺言で遺産の処分を決めておくべきです。

 なお、不在者(従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない人)について、その生死が7年間明らかでないとき(普通失踪)、又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇し、その危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

 失踪宣告とは、生死不明の人を法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度ですから、失踪宣告がなされると、その人が相続人である遺産分割についても、その人を亡くなった人として取り扱うことができます。

法律上の相続人ではない人に遺産を贈りたい場合

 子の嫁、子がいるが子以上に世話になった甥姪など、法律上の相続人ではないが、特別に世話になった人に、遺産を贈りたい場合は、遺贈の遺言が必要になります。

相続人の中に、認知症等で意思表示が困難な成人がいる場合

 この場合は、その人に成年後見人等を選任してもらわないと遺産分割協議ができません。

 そのうえ、成年後見人には被成年後見人(認知症等で意思表示が困難で成年後見人を選任してもらった人)の財産を守る義務があるので、法定相続分を下回る遺産分割には原則として応じられない仕組みになっています。

 よって、この場合も遺言を書いて、遺産分割の方法を明確にしておくべきです。

非嫡出子(婚外子)にも嫡出子と同じ相続分を与えたい場合

 現在の民法では、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1」として、両者の相続分に1対2の差をつけています。

 したがって、非嫡出子(婚外子)にも嫡出子と同じ相続分を与えたい場合は、遺言をする必要があります。

 (なお、この婚外子の相続分についての差別は、違憲とする司法判断がありますが、未だ法改正には至っていません。)

相続人が全くいない場合

 相続人がいない場合には、特別な事情がない限り遺産は国庫に帰属します。したがって、このような場合に特別世話になった人に遺贈したいとか、お寺・教会・社会福祉関係の団体・自然保護団体あるいは各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には、その旨の遺言をしておく必要があります。

 また、身寄りの全くない人が亡くなった場合、その人の周囲におられたケアマネジャーさんやヘルパーさんなどの介護関係者の方、民生委員さん、アパートの大家さん、隣近所の人など、お世話になった方に迷惑がかかることも考えられますので、自分の死後の後始末をしてもらえる人を遺言という形で意思を残して、どなたかに託しておくことも必要ではないでしょうか。

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